文字を小さく文字を大きく
 
父と富士山 ≪ファミリー≫ 神奈川 会社員 Kirishima 2013.2.28

三島で生まれ、毎日富士山を見て育った父。

しかし足を悪くしたのをきっかけに、父は三島を離れて横浜にいる私たち夫婦と同居するようになりました。

三島から横浜に向かう新幹線の中から、遠のく富士の姿をジッと見ていたのを覚えています。

そして今年の年初、そんな父に喉頭ガンが見つかり、
手術をして今度は声帯を失ってしまいました。

体の大きな父でしたが、
いつの間にか小さくなってしまった父の背中。

自分の親が弱っていく姿は、見ていて悲しいものです。

そんな父を励まそうと、
今月の連休に父を連れて静岡へ行くことにしました。

目的は富士山。

当日、天気は晴れ。

新横浜で新幹線に乗り換え、いざ静岡へ。

窓際の席に座った父を乗せた新幹線は、静かに動き始めました。

「もうすぐだね」

父は窓の外を見たままうなづきました。

新横浜を出てからわずか30分。

8q近い新丹那トンネルを抜け、更に短いトンネルを幾つか過ぎると、かつて三島から見た、見慣れた富士山がそこにありました。

黙ったままじっとその姿を見つめる父。

そして三島、新富士と過ぎ、ハイライトの富士川鉄橋まで来ると、
富士の姿は車窓一杯に広がりました。

その美しく雄大な姿は、何度見ても感動もの。

ふと父を見ると、父の目は涙で潤んでいるように見えました。

父を連れ出して、本当に良かったと思いました。

○ 「フムフム一覧」に<戻る>

----------------------------------------------------------
イメージ写真、文中の下線、カラー等の装飾、並びに関連サイトへのリンクは、
Simple-HP側にて設定させていただいております。
コラムに対するコメントもお待ちしております。 一つの『コラム』として選考・掲載
致します。---ふむふむコラムの投稿
  • 前頁に戻る