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父親失格(2/3) 育児・教育 東京 会社員 S.Yamashiro 2009.08.21

ゴルフのプレー中のことでした。

17番ホールが終わったあたりで、
私の携帯が鳴り響きました。

「ちょっとすみません」

お客さんに頭を下げて電話に出ると、
まゆみの容態が急変して今救急車で病院に来たという妻からの連絡でした。

「わかった。もうすぐ終わるから。
 終わったらすぐに病院に行く」

私はそう答えました。

電話を切ると、客先の社長さんが心配そうに、

「どうしたの?なんかあったのかい?」

と尋ねてきました。

「いやちょっと娘が…。大したことないんですけど」

「"救急車"って聞こえたけど、娘さん、病院に運ばれたの?」

どうやら妻との会話が漏れていたようでした。

私は仕方なく正直に、

「ちょっと具合が悪くなって病院に運ばれたという連絡でして。
でも大丈夫です。あと1ホールですから」

そう言って作り笑いをすると、その社長さんの顔がみるみる赤くなり、

「何を考えているんだ!今すぐ病院に行きなさい。あんた父親だろ!」

と怒鳴られました。

そこにいた人たちも一瞬凍ってしまうほど、その声には迫力がありました。

その声で、私は否応なくゴルフ場を後にしたのですが、
しかし病院に行くまでの運転中、私が考えていたのは、
接待先の社長さんを不愉快にさせてしまったことに対する不安。そして、

「どうせ私が病院に行っても、私に出来ることなどないのに…」

という 電話をしてきた妻に対する憤りでした。

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