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父からのメッセージ (6) ≪ほのぼの≫ 埼玉県 高 3 あみぽん 2010.09.15

次の日、私は部活が終わってから母のいる病院へと向かいました。

病室に着くと、中から聞こえてきたのは父の声。

(タインミング悪!)

母の下着の替えを持ってきていたので、このまま帰るわけにもいきません。

(休憩室でしばらく時間をつぶそうか?)

と考えていると、

「パンをちぎって牛乳にちょこっと浸してから
 ひき肉とこねるの」

と言う母の声が…。

(何の話?)

病室の中を覗くと、母の横で父がメモを取っているのが見えました。

「みじん切りした玉ねぎとひき肉と卵と牛乳につけたパンをこねて、
 塩コショウで味付ければいいのか?」

「そうよ。こねればこねるほどいい味になるから。
 亜美喜ぶわよ、きっと」

突然私の名前が出たので、慌てて首を引っ込めました。

(もしかして、私のお弁当の話?)

「それにしても娘の好物も知らなかったとは父親失格だな」

(それって…ハンバーグ?)

「あなた、ありがとうね」

「"お前になんかあった時は…"の約束、俺は忘れてないから」

後で母から話を聞いたのですが、
母には心疾患があって、私を身ごもった時に
お医者さんから「出産は危険」と言われたのだそうです。

しかし、母は出産することを選択しました。

その代わり、母は父に一つだけ約束をしてもらったのだそうです。

「私にもしものことがあったら、あなたが私たちの子をきちんと育ててね」

母が入院した今、父はその時した約束をきちんと果たそうとしていたのでした。

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