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ラベンダー翡翠 (6/6) ≪ちょっと泣ける≫ 東京都 会社員 清水佳織 2010.04.25

その日の夜、私のケータイに
叔母からメールが届きました。

あの後、あとから追いかけてきた
沙織さんに呼び止められ、二人でタクシーに乗ったのだそうです。

向かったのは、沙織さんの住むマンション。

タクシーで移動中、沙織さんはずっと窓の外を見ていたそうです。

『本当にごめんなさい』

叔母が隣に座る沙織さんに謝ると、

『お願い、話し掛けないで…
 今は…その声を聞くだけで、泣いちゃいそうだから』

と言われたそうです。

叔母のメールを読んでて涙が出てきちゃいました。

マンションに着き、部屋に入ると、
とたんに子どものようにしゃくり上げて泣き出した沙織さん。
…もちろん叔母も。

泣いて泣いて、そしてひとしきり泣き終わると、

『お母さんのバカ!』

と言って、沙織さんは叔母の胸のに抱きついてきたそうです。

その後、沙織さんと今まで離れていた空白の時間を
埋めるかのようにたくさん話をしたそうです。

沙織のことを抱きしめた時ね、
『私、この瞬間の為にこれまで生きてきたんだ』
って思った。
そして残りの人生は、
自分の為じゃなく、この子の為に生きていこうってね…

叔母のメールにはそう書かれていました。

あの画廊に飾られていた 『ラベンダー翡翠』という油絵。

あの一枚の作品が、
長く離れ離れになっていた母と娘を引き逢わせたように感じました。

沙織がね、あなたにまた逢いたいって。
聞いたわよ、思い切りあなたに頬引っぱたかれたって。
もぅ、うちの娘に何てことするのかしら…(笑)
佳織、ありがとうね。言葉に出来ないくらい感謝してる(^^)

叔母のメールの最後は、そう締めくくられていました。

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