Welcome!
Welcome! | ほのぼの | 千葉県 | 専門学生 | 由利子 | 2008.05.22 |
私のうちでは、1年前から外国人留学生を受け入れる「ホストファミリー」をしています。
両親とも学生の頃にホームステイをしたことがあり、「子どもの教育にも良いから」と始めたものです。
しかし、高校生の妹も私も英語はほとんど喋れません。
また、家族以外の知らない人が同じお風呂に入り、
同じ屋根の下に寝泊りすることにも正直抵抗があったので、今までホームステイで私の家に来た人たちに対し、「Welcome」と言ったことは一度もありませんでした。
しかし、ネパールからやってきた大学生のジェシカさんによって、
「ホストファミリーっていいな」と思うようになったのです。
そのジェシカさんがわが家にやってきたのは、今年の3月半ば。
父や母が通訳してくれないと会話なんてできませんが、
とても礼儀正しくて綺麗な人でした。
ホームステーイが始まってから2週間目の金曜日だったと思います。
週末に友達と遊びに行く約束をしていた妹が
「明日着て行く服がない!」と騒ぎ出し、私に「服を貸して」と言ってきました。
私は以前貸した服を汚されたことがあったので、
「自分の服を着ていけばいいでしょ」と言って断りました。
すると妹のウソ泣きが始まったのです。
それに驚いたジェシカさんが、
「どうしたのですか」と私に尋ねてきました。
私はお母さんに助けを求め、
「明日着る服がないから服を貸してとユカに言われたけれど、前に貸した服が汚されたから断ったの」と通訳してもらい、「あれはウソ泣きで、いつものこと」と付け加えました。
すると、ジェシカは母に何やら話し出し、
母が「ジェシカが二人に話があるって」と言ってきました。
まず、私に向かって、「私には3人弟がいます」とジェシカが話し始めました。
一番下の弟とは10歳も歳が離れていて、皆かわいい弟たちなのだそうです。
「もし、パンが一切れしかなかったら、私は弟たちとそのパンを分けて食べます。
もし、私が空腹を我慢できるなら、私は喜んで自分の分も弟達に与えると思います。― ユリは、自分のパンがそんなに大事ですか?」
妹と私の関係をほとんど知らないとは言え、とても痛い言葉でした。
ジェシカの話を理解した妹は、「ほらー」と言って私を少し責める目で見ました。
するとジェシカは、今度は妹に向かって、
「ネパールには貧しい子どもたちがたくさんいます。
その子どもたちは、食べるものがなくても、物を乞う為に涙を見せることはありません。涙を"道具"として使うのはネパールではとても下品な行為です。」
と言いました。
その厳しい言葉に妹はとても驚いたようで、妹は黙り込んでしまいました。
その夜、私はジェシカに言われたことをずっと考えてしまいました。
私と1歳しか違わないのに、ずっとずっと大人のジェシカ。
私は、頭の中を整理すると、
机からカードを二枚出して、そこにメッセージを書き始めました。
1つは、妹に
「明日服貸してあげるから、部屋においで」と、
そしてもう一つは、
「Welcome and thank you, Jethica!」と。
書き終えると、ほんの少しだけ自分が大人になれた気になりました。
これは全て、ジェシカのおかげだと思っています。
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