幼稚園の保母さん取材記「今どきの園児たち」
一人っ子に教えたいこと
保母さんたちの生の声
01. | 「ごめんなさい」と「ありがとう」 |
兄弟がいる子は、友達を作るのが比較的早いですし、モメごとにも慣れているようです。 「おはよう」、「バイバイ」だけでなく、「ごめんなさい」や「ありがとう」など、相手の気持ちを踏まえたがコトバが上手に言えるようになると、お友達ともうまく遊べるようになっていきます。 |
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千葉県 保育園 保母(キャリア11年) | |
02. | 基本は「ありがとう」 |
一人っ子の子は、「ありがとう」が難しいようです お友達にクレヨンを貸してもらっても、何も言わない。「ありがとうは?」と聞いても、なかなかできません。家庭でも、「ありがとう」という言葉を頻繁に使っていただけたらと思います。 |
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神奈川県 幼稚園 保母(キャリア8年) |
保母さんからのアドバイス
一人っ子でも、家庭にお客さんが頻繁に来たり、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に暮らしている家庭では、「人と関わる」機会が多いので、比較的引っ込み思案になることはないようです。
一方、平日は母一人子一人という家庭で育つ一人っ子には、親が教えてあげたいことがいくつかあります。
1) じゅんばんこ・かわりばんこ
兄弟がいないと、おもちゃを順番に使ったり、かわりばんこに使ったりするシチュエーションがありません。
「じゅんばんこ」や「かわりばんこ」を教えることは、子どものセルフコントロール力を育む上でもとても大切なことです。
お母さんやお父さんが、子どもと遊びながら「じゅんばんこ」や「かわりばんこ」を教えてあげられると良いですね。
2) 一緒に遊べるもの
折り紙や塗り絵は、一人の世界に浸って遊べてしまうもの。
一方、カルタやパズル、あやとりは、複数の人たちと一緒に遊ぶことができます。
複数で遊ぶ"遊び"の良いところは、そこに必ずルールがあるところです。みんなで楽しく遊ぶためには「ルールを守らないといけないんだ」ということを教えてあげてください。
「じゅんばんこ」や「かわりばんこ」も、こうしたゲームの中で教えてあげると良いかもしれません。
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3) はんぶんこ
パンケーキを焼いて、それを二つに切って"はんぶんこ"したり、お菓子を二つのお皿に"はんぶんこ"するのを見せてあげて下さい。そして子どもと一緒に食べた時に
「はんぶんこしてみんなで食べると美味しいね」
と教えてあげれば、子どももはんぶんこの意味がきちんと分かるようになります。
「自分さえ良ければいい」という貧しい心を持たぬよう、
お母さんやお父さんが、常日頃から
「みんなで○○すると楽しいね」
「みんなで○○食べると美味しいね」
という言葉を掛けることは、とても大切なことです。
4) 貸して⇔いいよ
3歳くらいの子どもは、まだ自己中心的な面が強いのでなかなか周りのヒトの気持ちを考えて行動することはできません。
「貸して」⇔「いいよ」が上手にできるようになるには、家庭でも「練習」することが必要です。(特に一人っ子の場合は、ママやパパが相手をしてあげる必要があります。)
ママのおもちゃ(=子どもが欲しがるもの)を一つ用意して、
「ママのおもちゃ貸してあげるね」と言って子どもに貸してあげて下さい。
― ママからおもちゃ貸してもらって、ミキちゃん嬉しい?
― じゃ今度はママにミキちゃんのおもちゃ貸して
― ママも貸してもらって嬉しい!
といった会話を繰り返していくうちに、子どもは「おもちゃを貸してあげると相手は嬉しいんだ」と、相手の気持ちを考えてあげられるようになります。
5) 返してちょうだい
お友達に貸したおもちゃを、上手に「返して」が言えずにモジモジしてしまう一人っ子に多いようです。
兄弟がいれば、家庭での遊びの中で覚えるものですが、兄弟がいないとそうしたシチュエーションが家庭にありません。「貸して」⇔「いいよ」と同じように、ママやパパが相手になって練習してください。
「ミキちゃん、おもちゃ返して欲しい?」
― うん
「じゃママに"おもちゃ返してちょうだい"って言ってごらん」
― おもちゃ返してちょうだい
「はいミキちゃん、おもちゃ返すね。ありがとう」
― ・・・
「返してもらったら、"返してくれてありがと。また遊ぼう"って言うんだよ。」
― わかった
こうしたことを、遊びの中で繰り返すうちに、子どもは少しずつ上手に言えるようになっていきます。
6) ごめんなさい⇔ありがとう
「ごめんなさい」と「ありがとう」は、わざわざシチュエーションを作らなくても、日常生活の中で教える機会はたくさんあります。
(⇒ 夫婦間でも、「お手本を見せる」という意味で、こうした言葉を頻繁に使っていただければと思います。)
最初のうちは、
「ごめんなさいは?」、「ありがとうは?」と、
その場で子どもに言うべき言葉を教えてあげて、徐々に「悪いことしたら何て言うんだっけ?」、「嬉しいことしてもらったら、何て言うんだっけ?」と子どもに考えさせるようにすると良いでしょう。
そして自分からちゃんと言えた時は、。
― ごめんなさいって自分から言えたね
― ありがとうってちゃんと言えたね。
と誉めてあげると、子どもの覚えはもっともっと早くなるものです。
何ごとも、何度も繰り返して覚えていくものです。今日出来ても明日また上手に出来るとは限りません。大変だとは思いますが、イライラせずにがんばっていただきたいと思います。