幼稚園の保母さん取材記「今どきの園児たち」
これをしたら、叱ってます
保母さんたちの生の声
01. | 「弱いものいじめ」をした時は叱っています |
男の子が女の子をいじめた時、また年長さんが年中・年少組の小さい子をいじめた時は、それが言葉の暴力であってもきつく叱っています。ヒドい時はお尻や手をペンすることも。でも、必ず叱った時は何故先生が叱ったのかを説明するようにしています。 | |
神奈川県 保育園 保母(キャリア13年) | |
02. | 人に向かってモノを投げるのはダメ |
お友達に向かってモノを投げつけることはとても危険な行為。そういう場面に出くわしてから子どもを叱るのではなく、日頃から「絶対にしてはいけないこと」として子どもたちに教えています。 また、「モノを投げた子は、どんな理由があっても先生は必ずお尻を叩きます」と言うことを、園児だけでなく、親御さんにも伝えています。 |
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神奈川県 幼稚園 保母(キャリア9年) | |
03. | ウソを付いた時は子どもを叱っています |
幼稚園には、たくさんの子どもがいますから、お友達同士でのモメごとは日常茶飯事。その中で、幼稚園の先生が絶対にしてはいけないことは、特定の子だけを可愛がってしまう「えこひいき」です。 しかし、子どもにウソをつかれてしまうと、中立な立場で子どもを叱れなくなってしまいますので、子どもには「えこひいき」しているように映ってしまいます。 ですので、「絶対に先生にはウソはつかないでね」と子どもと約束しています。そして、正直にお話してくれた時は、必ず先に「正直に話してくれたこと」を誉めるようにしています。 |
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神奈川県 幼稚園 保母(キャリア7年) |
保母さんからのアドバイス
叱る時に、して欲しくないこと
1) モノを出しにして叱ること
「何が良いことで、何が悪いことなのか」をきちんと子どもに教えることが「しつけ」の基本です。しかし、
― おもちゃ片付けないならアイスクリームなしね
― ママの言うことが聞けないなら、もう二度とおもちゃ買ってあげないから
といった、"モノ"をダシにした「叱り方」を日常的にしてしまうと、「何が良いことで、何が悪いことか」を覚えること以上に、「ママやパパの言うことさえ聞けば、ご褒美がもらえる」という思考が、子どもの中に育ってしまいます。
これでは、"ペット"と同じです。
「ご褒美がないと、何もしようとしない」、「ご褒美がなければ、言うことを聞かない」というご褒美志向の子どもたちが、今はとても増えています。
2) 「○○しなさい!」口調
朝起きると、
― 早くごはん食べちゃいなさい!
― ご飯食べたら、さっさと歯を磨きなさい!
― 歯を磨いたら、早く服を着替えなさい!
と、常に子どもに「○○しなさい」という命令口調で指図し、四六時中「叱っている」ようなモードのお母さんが少なくないようです。
これでは、子どもは「お母さんは常に怒っている人」と思ってしまい、本当に「叱る」必要があって子どもを叱っても、「いつものことだから」と流されてしまいます。
その結果、いつも以上の叱り方をせねばならなくなり、必要以上の罵声を浴びせたり、必要以上の体罰を与えてしまうことになりかねません。
また、1から10まで何でも命令口調で子どもを指示してしまうと、子どもの考える力は育たなくなってしまいます。
― 朝起きたらまず何をするんだっけ?
― ごはん食べたらどうするんだっけ?
― 歯を磨いた後は何をすれば良いのかな?
こんな風に、子どもに考えさせることで、子どもの考える力は育つのです。
3) 人格・存在の否定
― あんたはママが嫌がることばっかりする!
― ママは○○ちゃんが大嫌いよ!
― あんたなんか産まなきゃ良かった!
と子どもの人格や存在を否定する叱り方は問題です。
子どもを叱るのは、「何がいけないことなのか」を教えるためであって、子どもを傷つけることが目的ではありません。
子どもを叱る時、つい感情をぶつけてしまいがちですが、
「子どもに絶対に言ってはいけないこと」
を、夫婦で話し合い、夫婦間の約束ごととして守っていただければと思います。
数人の保母さんが教えてくれましたが、子どもを叱る時は、一度 深呼吸するのがとても良いそうです。
いきなりガーッと叱るより、ひと呼吸してから叱る方が、叱り方に幅(余裕)が出来るだけでなく、口から出てしまう余計な言葉のトゲの数も大分減るそうです。是非お試し下さい。
叱る時に、して欲しいこと
1) 叱った理由の説明
子どもを叱った時は、「どうして叱ったのか」を子どもに説明して欲しいのですが、「叱った理由を説明する余裕なんてない」ことも多々あると思います。
そこで、多くの保母さんたちがおっしゃっていた
「家庭で最低限やって欲しいこと」を一つ紹介します。
それは、子どもについ手が出てしまった時は、必ず
"なんでお母さん(お父さん)が叩いたか分かる?"
を口癖にすること。
肉体的な痛みを伴って叱られた時は、ショックが大きいものです。叩いたまま放置されてしまうと、「痛かった」「怖かった」だけが子どもの中に残り、叩かれた理由が子どもに伝わらないままになってしまいます。
「叱る」とは、「教える」こと
ということを忘れないで下さい。
特に、叩いてしまった時は、必ずその理由を説明をすることはとても大切なことです。
"なんでお母さん(お父さん)が叩いたか分かる?"という言葉があれば、子どもと会話することになります。そして、
― お母さんだって叩きたくて叩いたんじゃないのよ。
といった言葉が、叩かれた後にあるとないでは、子どもの受け止め方は全く違うものになるのです。